特定非営利活動法人(NPO法人) インターベンションのエビデンスを創る会は、日本の高いインターベンション技術を活かし、世界に発信するエビデンス創りを目指します。

設立趣意書

趣旨
 わが国の心血管疾患による死亡は年間17万人に及び(厚生労働省集計:平成17年)、いまや悪性腫瘍と双璧をなす国民の健康における克服すべき重要課題であるといえ、こうした状況を打破すべく様々な治療手段が試みられています。心臓血管領域では動脈硬化による動脈狭窄をカテーテルを用いて解除する治療方法、「インターベンション治療」が急速な進歩を遂げており、中心的な役割を担うに至っております。生命にかかわる狭心症や心筋梗塞は、心臓を動かす筋肉に栄養を送る冠動脈の狭窄や、血栓による閉塞が主な原因です。この冠動脈治療に、従来の開胸して行うバイパス手術に代わって積極的に行われるようになってきたのがインターベンションの経皮的冠動脈形成術(PTCA)です。PTCAは先端にバルーン(風船)のついたカテーテルを心臓の狭窄した冠動脈まで挿入して、バルーンを膨らませて内腔を押し広げ、血液が正常に流れるようにする治療法です。再狭窄してしまわないように特殊なメッシュ構造の金属でできた筒を閉じた状態で血管内に運び、冠動脈の病変部を広げて動脈壁に密着させてそのまま留置することでPTCAの効果をさらに高めることができます。さらにはこうしたステントに特殊な薬剤を塗布し、いっそう再狭窄を予防することができる薬剤溶出型ステントも臨床で使用できるようになりました。こうしたインターベンションは全身麻酔が必要な大規模な外科手術もなく、身体に傷口もほとんど残らないことから患者の負担は大変軽い低侵襲な治療であり、患者のQOL向上に貢献しています。
 一方、最近では経験に基づく医療(Experienced-Based Medicine)のみならず、信頼性の高い情報に基づく医療(Evidence-Based Medicine:EBM)も重要であるとの認識が高まっています。インターベンションも例外ではなく、EBMを重視する意識は高まりつつありますが、本邦における根拠(エビデンス)となる客観的なデータが質、量ともに十分な状況にあるとは言えません。またEBMについて患者さんや医療従事者への認知度も十分に高いとは言えない状況です。また、海外諸国において、既に承認を得て臨床にて患者さんにメリットとなるような、多くの臨床の実績があるにも関わらず、日本では承認されておらず治療に使用することができない医薬品や医療機器が多く存在します。こうした状況を改善するためにも、正しく治療が評価できるような客観的なエビデンスを蓄積できるシステムや、それらのエビデンスを臨床へのフィードバックするような活動は、社会的意義が高く、期待も大きいと考えます。
 そこで、私たちは、医療に携わる者としての社会的責任から、これまで培った心血管疾患などのインターベンションに関する高度な専門知識を社会に還元すべく、エビデンス作りのシステム構築と、得られたエビデンスを多くの医療従事者に幅広く提供し、医療に応用してもらうことで個々の患者の健康福祉的利益はもちろんのこと、医療制度や社会的資源の構築に寄与したいと考えています。
 これらのことを実行し達成すべく、「特定非営利活動法人 インターベンションのエビデンスを創る会」を設立することに致しました。
 特定非営利活動法人設立後、インターベンションにおけるEBMの普及を通じて、客観的かつ適切なデータや情報提供を行うとともに、診療行為や治療法の向上が図られ、国民の健康福祉増進に貢献を図るべく活動する所存であります。